口腔ケアの重要性

  • 投稿日2020年05月8日

巷では感染予防ということが言われていますが、科学的にエビデンスがあるものはやはり手洗い・うがいになると思います。それとは別に意外と皆様の盲点になっているもう一つのケアが口腔内のケアになります。

 

2019年の日本大学歯学部の研究の報告では、適切な口腔内のケアをする事で歯周病菌の数が減ると、インフルエンザの罹患率が低下するということがわかっています。

口腔内のケアを怠ると当然歯周病菌が増えてしまいます。この歯周病菌というのはプロテアーゼというタンパク分解酵素を出し、口の中の粘膜を破壊してしまいます。そうなると口腔内に入ってしまったウイルスにとっての最初の防御壁である口腔粘膜が破壊されると容易にウイルスが入ってきやすくなってしまいます。さらにプロテアーゼはウイルス自体の一部を切り取ってしまうので、切り取られた部分は、より細胞に入り込みやすくなってしまうのです。これにより少量のウイルスでも感染が引き起こされる可能性が高くなるのです。

また、この歯周病菌を誤嚥して間違って肺に入ってしまうと、プロテアーゼによって今度は肺胞が破壊され誤嚥性肺炎のリスク(重症化)も高くなってしまいます。

 

東京歯科大学の研究によると、老健施設の入所者に口腔衛生のプロである歯科衛生士が口腔内のケアを行った群は、行わなかった群と比べ、インフルエンザの発症率が1/10に減ったという報告もあります。

新型コロナウイルスに特化した予防データはまだありませんが、インフルエンザの発症率を軽減させるということは、同じエンベローブ構造をもつコロナウイルスの発症率も軽減させる可能性も高いということが考えられます。

 

歯周病は、糖尿病や心筋梗塞、動脈硬化などをさらに悪化させてしまうということが近年わかってきています。基礎疾患をお持ちの方も重症化しないためにも口腔ケアは重要です。

 

皆様も全身の健康の為にも、くれぐれも口腔ケアを怠らないよう気を付けていきましょう。

インフルエンザ予防 effect_03

 

 

 

院長 三隅 賢祐

 

 

 

 

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